<2004年、あの頃はまだ、自分には敷かれたレールがあった>
2004年。私は25歳でした。大学を卒業し、新卒で営業マンとして生きていました。あの頃は「人生に敷かれたレール」がありました。いずれはそのレールに乗り、自分のためではなく家族のために生きていかねばならない。ほとんどが自己犠牲の考えではありましたが、かくいう自分自身もそれを覆して生きていく方法も見つからない。そんな状況でした。
<今もそうですが、私はこれといって、卓越したスキルはありません>
そんな中、大学の先輩が結婚し、披露宴を挙行することになりました。どうゆう経緯があったかは忘れてしまいましたが、余興を担当することになりました。当然、友人(先輩ですが)の結婚式に参加するのは初めてですし、ましてや余興など人前で何かドンチャカできる性格でもありません。しかも、その先輩の住所は東北。とてつもなく遠方です。しかもこちらから出席する人数も少ない。当日は全く知らない両家の関係者が大勢。結構な規模だったことは記憶にあります。いったいどうすればいいのか。どんな余興がいいのか。そもそも、「余興」ってなんだ? しかし、いまでも鮮明に覚えているのは、そんな大きな悩みの中にも、(オレだったら、必ず何かできるはずだ)と小さな小さなロウソクの灯に似た希望の炎が、なぜか心にありました。